
米国株の配当利回りを最大限活かすための戦略5選
はじめに
米国株は世界でも有数の高配当銘柄が数多く存在し、長期投資を通じて安定したキャッシュフローを得ることが可能です。日本在住の投資家にとっても、為替リスクを考慮しつつ米国株の配当戦略を取り入れることで、円建て資産の分散やインフレヘッジの効果が期待できます。本稿では、米国株の配当利回りを最大限活かすための5つの実践的戦略を解説します。
戦略1:安定配当を重視した企業選定
連続増配銘柄への注目
米国には数十年にわたり増配を続けている「Dividend Aristocrats(配当貴族)」と呼ばれる企業群があります。これらは景気変動に強く、株主還元を重視する経営姿勢が根付いています。たとえば日用品、医薬品、公共サービス関連などのセクターは業績の安定性が高く、長期的な配当再投資戦略に向いています。企業の財務健全性や配当性向を確認しながら、持続可能な配当成長が見込める銘柄を選定することが重要です。
戦略2:為替リスクの把握と対策
ドル円変動を考慮した投資配分
日本円で生活する投資家にとって、ドル建ての配当金は為替レートの影響を直接受けます。円高時には受取額が目減りするため、為替リスクを軽減する手段として外貨建てMMFや為替ヘッジ付きファンドを活用する方法があります。また、為替差益を狙って円高局面で米国株を買い増す戦略も有効です。配当だけでなく為替の動きも総合的に考慮することで、実質的なリターンを最大化できます。
戦略3:高配当ETFの活用
分散投資による安定配当の確保
個別銘柄投資に比べてリスクを抑えつつ配当収入を得たい場合は、高配当ETFの活用が有効です。代表的なものとして、VYM(米国高配当株ETF)、HDV(高配当・優良企業ETF)、SPYD(S&P高配当ETF)などがあります。セクターや企業ごとの偏りを抑えながら、平均以上の配当利回りを狙うことが可能です。定期的な分配金を得ながらドル資産を積み立てることで、複利効果を享受しやすくなります。
戦略4:配当再投資による複利効果
DRIPを活用した長期的成長
米国ではDRIP(Dividend Reinvestment Plan)と呼ばれる配当再投資制度を利用することで、受け取った配当金を自動的に追加購入に充てることができます。これにより、配当が新たな株式を生み、さらに次の配当を生むという複利の連鎖が形成されます。日本の証券会社でも自動再投資機能を備えた口座が増えており、長期的に資産を雪だるま式に増やすには有効な手段です。
戦略5:税制最適化と二重課税対策
日米租税条約を踏まえた効率運用
米国株の配当は米国で10%、日本で20.315%の課税が原則発生します。しかし確定申告における「外国税額控除」を利用すれば、二重課税の一部を取り戻すことが可能です。また、NISA口座を活用することで日本国内の課税を回避でき、実質利回りを高められます。税制を踏まえた出口戦略を設計することで、同じ配当収入でも実際に手元に残る額に大きな差が生じます。
まとめ
米国株の配当利回りを最大限活かすには、安定配当企業の選定、為替リスク対策、ETFによる分散、再投資による複利効果、そして税制最適化の5つを組み合わせることが効果的です。これらを総合的に実践することで、日本在住者でも為替変動に左右されにくい資産運用を実現し、長期的なインカムリターンを築くことができます。
もっと詳しく
はじめに
米国株は世界的に見ても配当文化が発達しており、長期投資の手段として高い注目を集めています。特に日本在住の投資家にとって、米国株の配当は為替分散やインフレ対策の意味合いを持ち、安定したインカムを得る魅力的な手段です。しかし多くの投資家は、配当利回りをうまく活用しきれていないのが現状です。本稿では、米国株の配当利回りを最大限に活かす具体的な戦略を5つ取り上げ、それぞれをより深く分析します。そして、メリット・デメリット、リスク、対策まで実践的な観点から整理して解説します。
戦略1:安定配当を重視した企業選定
具体例
代表的な安定配当銘柄として、P&Gやジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラ、ペプシコなどの消費財企業が挙げられます。これらはいずれも50年以上にわたって連続増配を続けており、生活必需品分野を中心に世界的なブランド力を持っています。景気後退期にも安定した需要があるため、配当の持続性が高く、長期保有に適しています。
メリット
連続増配企業は業績が安定しており、株主還元意識が強い点が魅力です。配当収入が安定するだけでなく、企業の持続的な成長とともに株価上昇も期待できます。さらに長期保有することで、再投資による複利効果が得られる点も大きな利点です。
デメリット
安定配当銘柄は人気が高いため、株価が割高になりやすい傾向があります。結果として、配当利回りが見た目よりも低くなるケースがあります。また、成長スピードが緩やかなため、短期的な資本利益を狙う投資には不向きです。
リスク
最大のリスクは業績停滞による減配です。たとえ長期増配企業でも、世界的な規制や市場縮小によって利益が圧迫される可能性があります。特定セクターに偏ることでセクターリスクも高まります。
リスクの管理方法
複数セクターの増配企業を組み合わせて、配当安定性を分散することが有効です。ヘルスケア、日用品、エネルギー、通信などの配当セクターをバランスよく保有することで、特定業界の停滞リスクを軽減できます。
投資家としての対応策
定期的に決算情報を確認し、財務体質やキャッシュフローが悪化していないか点検することが重要です。増配が止まった段階で保有を見直すなど、配当成長の継続性に基づいた判断を行う姿勢が求められます。
戦略2:為替リスクの把握と対策
具体例
日本在住投資家が米国株に投資する場合、ドル建ての資産を保有するため、円ドルの為替影響を受けます。例えば、1ドル=150円のときに受け取る100ドルの配当は15000円になりますが、円高で130円になれば13000円に目減りします。
メリット
ドル建て資産を持つことで、日本円資産の価値下落時にリスク分散が可能です。特に円安局面では、為替差益が得られるため、配当と合わせて高リターンを狙うことができます。
デメリット
円高が進行すると、ドル資産の評価額や配当受取額が減少します。また、為替の短期的変動に影響されやすく、実際の生活コストとのズレが発生するリスクもあります。
リスク
為替変動による円評価損失が主なリスクです。短期的な外貨需要や金利動向によって急激に円高が進む場合、ドル建て配当の価値が下がります。
リスクの管理方法
為替ヘッジ付きのETFや外貨建てMMFを活用する、または為替の平均購入単価を意識した定期積立を行うことで、急激な変動の影響を平準化できます。
投資家としての対応策
長期分散を基本とし、為替の一時的な変動に過剰反応せず、自身の資産全体におけるドル比率を管理することが重要です。円高時は買い増し、円安時は受け取り配当を円転しないなどの柔軟な方針も有効です。
戦略3:高配当ETFの活用
具体例
代表的な高配当ETFには、VYM(バンガード米国高配当株ETF)、HDV(高配当・優良企業ETF)、SPYD(S&P高配当ETF)などがあります。これらは複数企業に分散投資することで、個別株リスクを抑えつつ安定した配当を得る仕組みを持っています。
メリット
ETFは一銘柄で数百社への分散が可能であり、配当収入の安定性が高い点が利点です。自動的な銘柄入れ替えにより、ポートフォリオが常に最適化される点も投資家にとって利便性が高いです。
デメリット
一部セクターの構成比が高くなる場合、セクター偏重によるパフォーマンス低下が起こることがあります。また、ETFの分配金は機械的に決まるため、特定企業の動きに即座に対応できない場面もあります。
リスク
市場全体の下落局面では、ETF全体が影響を受けるため評価額が下がります。また、資産残高の少ないETFでは流動性リスクがあり、売買がしづらくなる可能性があります。
リスクの管理方法
主要指数に連動する信頼性の高いETFを選び、運用コスト(経費率)の低さも重視します。さらに、複数のETFを組み合わせてセクター分散を図ると、下落時のダメージを軽減できます。
投資家としての対応策
配当利回りだけで選ばず、中長期で安定配当を維持しているETFを選定します。年に数回のポートフォリオ見直しを行い、経費率や構成銘柄のバランスを確認して再投資戦略を強化します。
戦略4:配当再投資による複利効果
具体例
米国にはDRIP(Dividend Reinvestment Plan)制度があり、配当金を自動的に再投資することで株数を増やせます。例えば年率4%の配当を再投資すると、10年後には約1.48倍、20年後には約2.19倍の資産増加が期待されます。
メリット
配当金を使わず再投資することで複利効果が最大化します。取引手数料がかからないケースも多く、資金効率が高い運用が可能です。
デメリット
短期的な現金収入を得られない点がデメリットです。老後など、生活費として配当金を利用したい時期には、キャッシュフローが制限されます。
リスク
再投資時の株価が高い局面では、購入単価が上昇するリスクがあります。また、自動再投資により一部銘柄に過度な集中が起きることもあります。
リスクの管理方法
定期的に銘柄構成を見直し、再投資先が同一銘柄に偏らないよう調整します。市場環境によっては再投資を一時停止する柔軟さも必要です。
投資家としての対応策
長期保有を前提に、安定的な成長が見込める企業群を対象にDRIP設定を行います。また、配当再投資の比率を段階的に減らすことで、将来的な現金収入への移行をスムーズに行えます。
戦略5:税制最適化と二重課税対策
具体例
米国株の配当は米国側で源泉徴収10%、日本国内で20.315%が課税されます。ただし、確定申告時に外国税額控除を利用すれば一部が還付されます。また、日本のNISA制度を利用すれば、日本国内分の課税が免除されます。
メリット
適切な申告によって、手取り配当金を増やせます。とくに高配当ポートフォリオを構築している投資家は、控除額の影響が大きく、実質利回りを向上させることが可能です。
デメリット
確定申告における手続きが複雑で、必要書類の管理が煩雑になります。また、NISA枠には上限があり、大規模な投資には対応しきれない制約があります。
リスク
外国税額控除の適用漏れや申告ミスにより、本来受けられる還付が失われるリスクがあります。さらに、将来的な税制改正によって控除制度が変更される可能性もあります。
リスクの管理方法
税務情報を定期的に確認し、最新制度に基づいて書類を整理することが必要です。外国税額控除を活用するために、確定申告ソフトや税務専門家のサポートを利用する方法も効果的です。
投資家としての対応策
配当受取額・課税額を毎年把握し、配当収入の効率を数値で確認します。NISAや特定口座を併用し、課税負担を最小化するポートフォリオを設計することが実践的な戦略となります。
まとめ
米国株の配当利回りを最大限活かすためには、配当成長企業の選定、為替対策、ETFによる分散、再投資による複利効果、税制面での最適化を組み合わせることが鍵です。これらを適切に運用することで、為替や市場の変動に強い長期的な収益構造を構築できます。投資家は配当を単なる収入としてではなく、将来の資産形成を支える成長の基盤と捉える姿勢が求められます。
比較してみた
テーマの定義
インカム重視の「配当利回り戦略」と、キャピタルゲイン重視の「成長株戦略」を対比します。前者は安定的な受取配当を軸に総リターンを積み上げ、後者は企業の売上・利益・市場シェア拡大による株価上昇を主なリターン源とします。総リターンは簡易式で「総リターン ≈ 配当 + 値上がり」で表せますが、両者は配当と値上がりの比重が大きく異なります。
主要比較表
| 項目 | 配当利回り戦略(インカム重視) | 成長株戦略(キャピタルゲイン重視) |
|---|---|---|
| 目的 | 定期的なキャッシュフローの獲得と安定的な総リターン | 企業成長による大きな値上がり(資産成長の加速) |
| キャッシュフロー | 配当を受け取り、再投資または生活資金に充当 | 配当は重視せず、値上がり益の実現は売却時のみ |
| 銘柄選定基準 | 安定収益・増配継続・フリーキャッシュフローの強さ | 売上成長率・粗利拡大・市場規模拡大・競争優位の強化 |
| リスクプロファイル | 減配・景気循環・セクター偏重(高配当セクター集中) | 高バリュエーションの調整・期待未達・ボラティリティ上昇 |
| 期待リターンの源泉 | 受取配当 + 緩やかな値上がり | 急速な売上・利益成長に伴う株価上昇 |
| 税務上の着眼点 | 配当に課税(口座・控除の最適化が重要) | 売却益に課税(損益通算・売却タイミング) |
| 売買頻度 | 低頻度・長期保有が中心 | 中頻度〜高頻度(成長局面の見極めで入れ替え) |
| 心理的負荷 | 価格下落時も配当が支え。含み損のストレスは相対的に軽め | 変動が大きく、短期下落のストレスは強め |
| 指標例 | 配当利回り、配当性向、FCF、増配年数 | 売上成長率、売上総利益率、営業利益率、LTV/CACなど |
| 代表的な選択肢 | 高配当ETF(例:VYM、HDV、SPYD)、配当貴族銘柄 | 成長株ETF(例:QQQ)、高成長個別株 |
それぞれが向いている投資家像
- 安定志向: 定期的な受取配当で心理的安心を得たい人。長期で着実に積み上げたい人。
- 再投資重視: 配当を自動再投資し、複利で資産形成したい人。
- 値上がり志向: 事業拡大の初期〜成長フェーズに賭け、リスクを許容して高い成長を狙う人。
- 分析好き: 産業構造の変化、技術トレンド、単位経済(例:LTV/CAC)を追いたい人。
シンプルなリターンの考え方
総リターンは「総リターン ≈ 配当 + 値上がり」で分解可能です。配当利回り戦略は「配当」を太く、成長株戦略は「値上がり」を太くします。配当再投資を行う場合は「値上がり」にも寄与し、両者の境界は投資家の運用設計次第で連続的に変わります。
想定シナリオの比較
景気回復の初期局面
- 配当利回り戦略: 景気敏感セクターの増配期待が出るまでの間は相対的に穏やかな推移。配当再投資で株数を増やし、回復の本線に乗る。
- 成長株戦略: 売上加速期待の再評価でバリュエーション拡大。初期のモメンタムを捉えられるとリターンが大きくなりやすい。
金利高止まりの局面
- 配当利回り戦略: 債券代替の見られる成熟企業は選別が進む。配当性向とFCFの健全性チェックが重要。
- 成長株戦略: 割引率上昇で将来キャッシュフローの現在価値が低下。高バリュエーション銘柄は調整が厳しくなりやすい。
リスクと落とし穴
- 配当カット: 好配当でも業績悪化で減配・無配の可能性。過去の増配年数だけに依存しない。
- セクター偏重: 高配当が特定セクターに偏りやすく、景気循環の影響が大きい。
- 過度な期待成長: 成長株で前提が崩れると急落。売上ミスや競争激化に備える。
- バリュエーション疲労: 高い期待が織り込まれると、好決算でも株価が伸び悩む。
- 売却タイミング難: キャピタルゲインは売却して初めて確定。意思決定の遅れがリターンを削る。
実践のコアチェックリスト
- 目的の明文化: 月次キャッシュフロー重視か、資産の最大成長かを決める。
- 指標の優先順位: 配当利回り/性向/FCF または 売上成長率/粗利/営業利益率 のどちらを主軸にするか。
- 分散の設計: セクター・国・スタイル(配当/成長)のバランスを定義。
- 売買ルール: 再投資の条件、利確・損切りの基準を数値で決める(例:-15%で再評価)。
- 税務の整理: 受取配当と売却益、控除・通算の取り扱いを事前に把握。
- 検証サイクル: 四半期ごとに仮説と実績を照合し、配分比率を微調整。
結論
安定的な現金収入を重視するなら配当利回り戦略、拡大する事業に賭けて資産の伸びを最大化したいなら成長株戦略がフィットします。両者は排他的ではなく、ポートフォリオ内で役割分担させる設計が現実的です。自分の目的・許容リスク・税務の前提を整理し、ルールに沿って継続的に検証することが、最終的な総リターンの質を高めます。
追加情報
インフレ環境下での配当戦略の位置づけ
インフレが進行する局面では、配当利回り戦略は購買力の維持に一定の役割を果たします。しかし、物価上昇率が配当成長率を上回る場合、実質的なリターンは目減りする可能性があります。投資家はインフレ耐性のあるセクター(生活必需品、エネルギーなど)を中心に配当銘柄を選定することが重要です。
金利動向と投資判断
金利が上昇すると、債券との比較で株式配当の魅力が相対的に低下します。特に高配当株は「債券代替」として評価されやすいため、金利上昇局面では株価の下落リスクが高まります。一方、成長株は将来キャッシュフローの割引率が上昇することでバリュエーション調整を受けやすく、双方に異なる影響が及びます。
セクター分散の重要性
配当利回り戦略は特定セクターに偏りやすく、景気循環や規制強化の影響を受けやすい点に注意が必要です。エネルギー、通信、ヘルスケアなど複数のセクターを組み合わせることで、安定性を高めることができます。成長株戦略では、テクノロジーや新興産業に集中しやすいため、分散不足によるボラティリティ上昇に留意する必要があります。
投資家心理と戦略選択
配当利回り戦略は定期的な収入が得られるため、価格変動に対する心理的負担を軽減しやすい特徴があります。逆に成長株戦略は短期的な下落に耐える精神的な強さが求められます。投資家自身の性格やライフステージに応じて、どちらの戦略が適しているかを見極めることが大切です。
税制改正リスク
配当課税や売却益課税は、税制改正によって大きく変動する可能性があります。特に外国株投資では二重課税の扱いが複雑であり、制度変更によって控除が縮小されるリスクも存在します。投資家は最新の税制情報を確認し、長期的な戦略に反映させる必要があります。
実務的な対応策
- 定期的に決算情報を確認し、財務体質の健全性をチェックする
- 為替ヘッジや外貨建て資産を組み合わせてリスクを分散する
- ETFや複数セクターへの分散投資で偏りを抑える
- 税務上の控除や非課税制度を活用し、手取りリターンを最大化する
- 心理的負担を軽減するため、戦略をライフプランに合わせて調整する
まとめ
配当利回り戦略と成長株戦略は、それぞれ異なるリスクとリターンの特性を持っています。追加情報として、インフレや金利動向、セクター分散、投資家心理、税制改正リスクを考慮することで、より現実的で持続可能な投資判断が可能になります。両戦略を組み合わせることで、安定性と成長性をバランスよく取り入れることができます。
配当か成長か?初心者がつまずく投資戦略の核心をQ&Aで整理
本記事は、インカム重視の「配当利回り戦略」と、値上がり益を狙う「成長株戦略」をQ&A形式でわかりやすく整理します。専門用語はやさしく説明し、実生活や投資判断に活かせる具体的ポイントを交えて、初心者でも迷わず選べるように構成しました。
Q1: 配当利回り戦略と成長株戦略の違いは何?
配当利回り戦略は、企業が支払う配当金(現金)を受け取りながら長期で安定的に資産を増やす方法です。成長株戦略は、売上・利益の拡大による株価上昇(キャピタルゲイン)を主な収益源とします。配当は「毎年の入金がある安心感」、成長株は「大きな値上がりの可能性」が特徴で、目的に応じて使い分けます。
Q2: 初心者はどちらを選べばいい?具体的な判断基準は?
毎月のキャッシュフローが欲しい、価格変動に不安があるなら配当重視が合い、資産を早く伸ばしたい、値動きに耐えられるなら成長重視が向きます。目安として「預貯金や生活防衛資金が十分(目安6〜12か月分)なら」成長の比率を少し高めても良いでしょう。迷う場合は、配当重視と成長重視を半分ずつにしてスタートし、四半期ごとに比率を見直す方法が現実的です。
Q3: 配当利回り戦略でチェックすべき指標は?数字の目安が知りたい
初心者が押さえるべき指標は、配当利回り(年率の入金割合)、配当性向(利益に対する配当の比率)、フリーキャッシュフロー(配当の原資)、増配の継続年数です。目安として、配当利回りは2〜5%の範囲で安定性と成長性のバランスが取りやすく、配当性向は40〜60%が持続性の観点で無理がありません。増配の継続年数が10年以上だと、景気サイクルをまたいだ耐久性が期待できます。
Q4: 成長株戦略で見るべきポイントは?どんなデータが重要?
売上成長率(年率で10〜20%以上なら明確な成長軌道)、売上総利益率(粗利率)、営業利益率の改善、事業の参入障壁(乗り換えコスト、ネットワーク効果など)、単位経済(顧客獲得コストと生涯価値のバランス)を確認します。決算で「売上・利益の上振れが複数四半期継続」していると、バリュエーションの再評価が入りやすく、中期的な上昇の確度が高まります。
Q5: 金利やインフレはどちらの戦略にどう影響する?
金利が上昇すると、配当株は「債券代替」と見られやすく相対的な魅力が下がり、株価調整が起きやすくなります。成長株は割引率上昇で将来価値が目減りし、特に高評価の銘柄はボラティリティが上がります。インフレが進む局面では、生活必需品やエネルギーなど価格転嫁が比較的効く業種の配当は耐性があり、成長株は「実需が強い分野」かどうかが持続性の鍵になります。
Q6: セクター分散はなぜ重要?具体的な組み方の例は?
配当重視はエネルギー・通信・金融などに偏りやすく、景気や規制の影響を受けやすいので分散が不可欠です。例として、配当枠を3〜4セクターに均等配分し、同時に国・通貨も分散します。成長枠はテクノロジー一極集中を避け、ヘルスケア、産業、消費関連など「実需の強いテーマ」を組み合わせることで、特定イベントによる急落を緩和できます。
Q7: 実務で役立つ運用ルールを教えて。初心者でも運用しやすい形で
四半期ごとに「決算チェック→配分見直し→売買判断」を定例化します。買い増しは決算で売上・利益の両方が着実に伸びている銘柄、または増配継続と健全なフリーキャッシュフローが確認できる銘柄を優先。損切りは下落幅だけでなく「前提崩れ(成長率急低下、配当性向の悪化)」をトリガー化すると再現性が高まります。再投資は自動化を活用し、過度なタイミング依存を避けます。
Q8: 税制や為替はどう考えればいい?初心者向けの整理
配当は受け取るたびに課税され、売却益は確定時に課税されます。非課税制度や控除の取り扱いは事前に把握して、手取りを最大化する設計が重要です。為替は円高・円安で受取額や評価額が変わるため、外貨建て資産を持つ場合は「円高局面で買い増し、円安局面で保有を重視」など、方針をあらかじめ定義してブレを防ぐと運用が安定します。
まとめ
配当利回り戦略は安定した現金収入、成長株戦略は資産の伸びを加速する可能性が持ち味です。金利・インフレ・セクター分散・税制・為替といった現実的な条件を織り込み、四半期ごとの検証ルーチンを運用の柱に据えましょう。迷うなら両戦略を併用し、目的とリスク許容度に合わせて比率を微調整することで、ブレない長期運用の基盤が作れます。
あとがき
配当利回りでの利益期待には不確実性がある
米国株の配当利回りを重視する投資は、安定的な収入を得られる可能性がありますが、常に計画どおりに進むわけではありません。業績悪化や経済環境の変化による減配は十分に起こり得ますし、配当自体に期待しすぎるのは危険です。配当の受け取り額が変動すれば、運用計画にも影響が出るため、資産の全体像を理解しておく必要があります。
為替の変動は大きな影響を与える
日本在住の投資家にとっては、ドル円の変動が配当の受取額に直接響きます。円高になるとせっかくの配当が目減りし、ドル安局面では逆に恩恵があります。この為替リスクは避けられず、起こり得る変動に対応しなければなりません。予想外の円高により配当収入が減少し、精神的に戸惑うことも経験しました。
高配当ETFも万能ではない
複数企業に分散されている高配当ETFはリスク軽減に役立ちますが、市場全体の下落や特定セクターの不調の影響を受けます。分散投資だからといって全てのリスクが消えるわけではなく、相場環境によっては大きな損失を経験することもあります。
配当の自動再投資は複利効果を期待できる一方で注意が必要
配当をそのまま再投資できる仕組みは資産を増やす助けになりますが、株価の高値掴みのリスクがあります。相場が下がっている途中で配当だけを再投資してしまうと、平均取得価格が上昇してしまうことに気づかずに運用を続けていました。時には戦略の見直しも必要だと感じています。
税制面でも複雑さがある
米国株の配当には米国と日本双方で課税が行われ、二重課税防止のための手続きや確定申告は煩雑になります。ミスや抜け漏れがあれば思わぬ税負担を負いかねません。また、税制は変化し得るため、急なルール改正に戸惑った経験もありました。適切な申告を怠ると配当利回りが減るだけでなく、精神的な負担も増えます。
リスク管理は常に必要である
配当がもたらす利益ばかりに注目すると、リスクが見えにくくなります。業績の変動、為替リスク、資産の偏り、税務処理など多様なリスクが積み重なっています。これらに気づかずに過信した結果、損失や精神的な苦労を経験しました。慎重さを失わないことの重要性を改めて感じます。
まとめ
米国株の配当利回りを狙う投資には魅力がありますが、多くのリスクを伴うことを忘れてはなりません。配当の減少、為替の影響、市場の変動、税制の複雑さなど、現実面での課題を踏まえたうえで運用しなければ、期待通りの成果は得られません。初心者の方は特に、配当に注目しすぎることによるリスクを理解し、冷静に向き合うことが必要だと考えます。

