まえがき
株式投資をするなら、日本株だけでなく、米国株も選択肢の一つとして考えてみませんか?米国株には、日本株にはない魅力がたくさんあります。この記事では、米国株に投資するメリットと、米国株市場における豊富な選択肢について解説します。
米国株に投資するメリット
米国株に投資するメリットは、以下のようなものが挙げられます。
少額から取引可能日本株には単元株制度があるため、基本的に100株単位で取引する必要があります。株価が数万円という銘柄もあるため、そのような銘柄を購入する場合は数百万円の元手が必要です。一方、米国株は1株から取引できます。そのため、少ない資金でも投資を始めることができるのです。例えば、アップルの株価は2023年10月15日時点で約14万円ですが、1株から購入できるので、14万円あればアップルの株主になることができます。
配当の頻度が高い日本株の配当は年2回のものが多いのですが、米国株は四半期ごと(年4回)に配当金を支払う企業が多いです。もちろん「配当の原資となる業績(利益)がしっかりしているか」が重要ですが、頻度が高いことはメリットの一つといえるでしょう。また、連続増配企業(毎年配当金を増額する企業)が多いことも米国株の特徴です。例えば、コカ・コーラは1963年から毎年配当を増やしており、2023年で60年連続増配となりました。
為替差益を取れる可能性がある米国株は「米ドル」で取引されるので、日本円で米国株に投資する場合は日本円を米ドルに交換し、その米ドルで米国株を購入します。したがって、米国株自体の値上がりや配当金に加えて、為替レートの変動によっては為替差益も取れる可能性があります。米国株が上昇し、為替も円安に振れれば、株式と為替のダブルで利益を得られるわけです。
最高値を更新し続けている2021年2月、日本株の代表的な株価指数である日経平均株価が約30年ぶりに3万円をつけたことが話題になりました。株価が上昇するのは喜ばしいことですが、言い換えれば30年もの間3万円未満で推移していたことになります。日経平均株価が3万8,915円87銭の最高値をつけたのは、1989年(平成元年)のことです。この最高値は、未だに更新されていません。一方、米国株の代表的な指数であるダウ工業株30種平均は、ITバブル崩壊やリーマンショックなどの危機を乗り越えつつ、定期的に最高値を更新しています。平成の30年間において、日本は平成元年につけた最高値を一度も更新できませんでしたが、ダウ工業株30種平均は約12倍になっています。これまで最高値を更新してきたからといって今後もそうなるとは限りませんが、右肩上がりで上昇していることは高く評価すべきでしょう。
豊富な選択肢
約5,000社以上の企業
米国株市場には、約5,000社以上の企業が上場しており、その中にはアップル、マイクロソフト、アマゾン、グーグルなどの世界的に有名な企業も含まれています。また、米国株市場には、株価指数と呼ばれる市場全体の動向を表す指標もあります。代表的なものには、ダウ工業株30種平均やS&P500などがあります。
これらの企業や指数に投資する方法は、以下のようなものがあります。
個別株個別の企業の株式を直接購入する方法です。自分で銘柄を選ぶことができるので、好きな企業や自分が信頼できる企業に投資することができます。また、個別株には高配当銘柄や成長銘柄など、さまざまな特徴を持つ銘柄があります。自分の投資スタイルや目的に合わせて、銘柄を選ぶことができます。
ETFExchange Traded Fundの略で、株式や債券などの資産を組み合わせた投資信託の一種です。ETFは、株式市場で取引されるので、個別株と同じように売買することができます。ETFには、特定の指数やセクター、テーマなどに連動するものがあります。例えば、S&P500に連動するETFは、S&P500に含まれる500社の株式を保有することで、S&P500と同じようなリターンを得ることができます。また、テクノロジーセクターやバイオテクノロジーセクターなどに連動するETFは、その分野の成長に乗ることができます。ETFは、個別株に比べてリスク分散がしやすく、手数料も安いことが多いです。
ADRAmerican Depositary Receiptの略で、米国以外の企業の株式を米国市場で取引できるようにした証券です。ADRは、米国の銀行が外国の企業の株式を預かり、その証明書として発行するものです。ADRは、米ドルで取引されるので、為替リスクを回避することができます。また、ADRには、日本や中国などのアジアの企業や、ヨーロッパの企業など、さまざまな国や地域の企業があります。ADRを利用することで、米国株市場だけでなく、グローバルな市場にもアクセスすることができます。例えば、トヨタ自動車やソニーなどの日本の大手企業や、アリババやテンセントなどの中国のIT企業のADRは、米国株市場で人気のある銘柄です。
REITReal Estate Investment Trustの略で、不動産を主な投資対象とする投資信託の一種です。REITは、不動産の所有や運営から得られる収益の大部分を投資家に分配することが義務付けられています。そのため、REITは高い配当利回りを提供することが多いです。REITには、オフィスビルや商業施設、住宅やホテルなど、さまざまな種類の不動産に特化したものがあります。REITは、不動産市場の動向や金利水準の変動などに影響を受けます。REITは、株式市場で取引されるので、個別株と同じように売買することができます。例えば、米国最大のREITであるアメリカン・タワーは、携帯電話の基地局や通信塔などのインフラを保有しており、5Gの普及に伴って成長が期待されています 。
SPACSpecial Purpose Acquisition Companyの略で、特定の企業を買収することを目的としたブランクチェック会社です。SPACは、株式市場に上場した後、2年以内に買収対象となる企業を見つけて合併することで、その企業を間接的に上場させることができます。SPACは、買収対象となる企業が決まるまでは、投資家から集めた資金を信託口座に預けておきます。SPACは、買収対象となる企業の業種や地域などをあらかじめ公表することが多いです。SPACは、新興企業や未上場企業に投資することができるという点で、投資家にとって魅力的な選択肢となっています。例えば、電気自動車や宇宙開発などの先端技術分野の企業が、SPACを通じて上場するケースが増えています 。