米国の利上げについて概要
アメリカの利上げについての概要は以下の通りです。
アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、2022年6月15日に約30年ぶりとなる大幅な利上げを発表しました。この利上げは、高騰する消費者物価の抑制に力を入れるために行われました。
FRBは、民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準金利を0.75%ポイント引き上げ、1.50~1.75%の範囲に設定しました。
アメリカの利上げは、世界経済に大きな影響を与えます。米国のGDPが世界第一位であり、米ドルが決済の基軸通貨となっているため、米ドル相場の変動は世界各国の経済に影響を与えます。
利上げにより、アメリカ以外の国では、ドル建て取引の多いエネルギーや食料などの商品の輸入が割高になります。特に、ドル建ての債務を多く抱えている国では、経済的負担が大きくなります。
アメリカの利上げには、他の国々も追随する傾向があります。イギリスの中央銀行やスイス、オーストラリア、カナダなどの十数カ国も、利上げを発表しています。これは、国内のインフレ率との戦いだけでなく、世界最大の経済国であるアメリカにならっているためです。
日本の場合、経済的な結びつきの強い米国の利上げには特に注目する必要があります。過去の米国の利上げにより、日本経済はどのような影響を受けたのか、今後の経済の動きを知るためには、諸外国の金融政策の動向も把握する必要があります。
米国の利上げが終わったとの意見があるが、肯定派の意見
米国の利上げが終わったとの意見には、以下のような肯定派の意見があります:
米国経済の堅調ぶり: 個人消費の強さが背景にあり、新型コロナ対策としての給付金などによる過剰貯蓄の取り崩しが続いていること、インフレが減速してきたことによる実質所得の増加、労働需給の逼迫による賃金上昇などが挙げられます。これにより、米国経済は過熱も減速もしていない状態で、今後インフレも相応に抑制されていき、米経済は景気後退を回避するというソフトランディングシナリオが成り立つ可能性があります。
米国債利回りの動向: 米国債利回りは利上げ終了観測の強まりを受けてこのところ急低下しており、市場は来年5月にも25ベーシスポイントの利上げがあると予想しています。しかし、もし米国経済が過熱状態となりインフレが高止まりする場合は、さらに複数回の利上げが必要となるでしょうが、この場合米長期金利が素直に一層上昇するかといえば、米株価急落などに伴い、景気の先行き不透明感から、むしろ低下する可能性があるとされています。
金融政策の影響: 米銀の貸出態度は一層厳格化しており、米銀の実際の貸出も、昨年11月のピーク(前年比13.5%増)から、7月末時点で同1.6%増まで伸び率は低下しています。家計の過剰貯蓄もこのままのペースで取り崩していくと、だいたい年末までには底を突き、消費のペースはスローダウンしそうです。これらの要素から、金融政策の影響が徐々に現れる可能性があります。
米国の利上げが終わったとの意見があるが、否定派の意見
米国の利上げが終わったとの意見には否定派も存在します。以下に、否定派の意見を日本語でまとめました。
利上げが「延長戦」的にもう少し続けられる可能性があることが意識されている。
一部のタカ派のFRB理事や米地区連銀総裁からは、利上げ実施が見送られても利上げ局面が終了するわけではないという趣旨の発言が出てきている。
米国とユーロ圏では、消費者物価指数(CPI)の下げ渋りが目立つ。このため、利上げが「延長戦」的にもう少し続けられる可能性があることが意識されている。