SPACとは
SPACとは、英語の「Special Purpose Acquisition Company」の頭文字をとった略称で、「特別買収目的会社」と訳されます。SPACは、事業を持たないペーパーカンパニーとして株式市場に上場し、投資家から資金を集めた後、未上場の企業を買収・合併することを目的としています。このようにして、買収先の企業が通常の上場プロセスを経ずに株式市場に上場できるという仕組みです。SPACは「空箱上場」や「裏口上場」とも呼ばれます。
SPACのメリットとデメリット
SPACには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 買収先の企業にとっては、上場にかかるコストや時間を節約できる。
- 投資家にとっては、少額の資金で未上場企業への投資に参加できる。
- SPACの運用者にとっては、買収先の企業の株式や手数料を得られる。
デメリット
- 買収先の企業にとっては、SPACの運用者や投資家の意向に従わなければならない。
- 投資家にとっては、買収先の企業の情報が不十分であることや、買収が失敗するリスクがある。
- SPACの運用者にとっては、買収先の企業を見つけることや、買収を承認させることが困難であることがある。
SPACの動向と事例
SPACは、2020年から2021年にかけて米国の株式市場で急増しました。2020年には248件、2021年には604件のSPACがIPOを行い、合計で約2兆円の資金を調達しました。SPACによって上場した有名な企業としては、以下のようなものがあります。
企業名 | 業種 | SPAC名 | 上場年月 |
---|---|---|---|
ドラフトキングス | スポーツベッティング | ダイアモンド・イーグル・アクイジション | 2020年4月 |
ニコラ・モーター | 電気自動車 | ベクターIQアクイジション | 2020年6月 |
クローバー・ヘルス | 医療保険 | ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディングス | 2021年1月 |
A.L.I.テクノロジーズ | ドローン | PONOキャピタル | 2021年2月 |
SPACは、未上場企業にとって魅力的な上場手段となり得ますが、一方で、買収の失敗や誇大広告の疑惑などの問題も発生しています。また、SPACに対する規制当局や市場の監視も高まっています。SPACは、今後も株式市場の注目の的となりそうですが、その動向には注意が必要です。